Reports From UKRAINE of CHERNOBYL-CHUBU OFFICIAL SITE

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 ウクライナ駐在員、竹内高明が伝える「ウクライナ」。
(2013年3月帰国)
そのほかウクライナ現地からの声をお届けします!

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竹内のウクライナ情報(2017年9月22日)*過去データ(クリック!)

  間が空いてしまいすみません。今回は趣を変えまして、TVの話題です。ウクライナのTV局「1+1」により2010年12月から放映されている、直訳すれば「裏返しの世界」(内側から見た外国、というほどの意味でしょうか)というタイトルの番組があります。ディレクター兼レポーターのドムィトロ・コマロウ(ロシア語発音ならドミトリー・カマロフ)はまだ34歳の若さ、キャメラマンと二人で世界各国に出かけていき、入念な取材の下、1ヶ国につき最大22回(インドネシア篇)にわたる番組を作成して好評を博しています。以下のYouTubeの公式サイトで、過去のすべての番組を自由に視聴することができます。

https://www.youtube.com/user/naiznankutv

現在ではロシアやベラルーシでも放映されています(番組中のコマロウ氏の発話はロシア語による)。これまではアジア、アフリカ、ラテン・アメリカなど、取材費が比較的安くてすむと思われる国々が紹介されてきたのですが、今年(2017年)9月に入って「日本編」の放映が開始されました。9月22日時点までに3回の放送があり、私はまだ3回目についてはちらと見ただけですが、第1回では、過労死問題と日本人の自殺率の高さが、かなりの時間を割いて紹介されていました。特に福井県の東尋坊での、断崖からの投身自殺を防止するヴォランティア団体の活動がつぶさに映し出され、ふだん日本のTV報道を全く観ていない私には、新鮮な情報と映像でした(9月7日にネットで公開されたこの第1回のウェブ上での視聴回数は、47万回に迫っているところです)。平均的なウクライナ人から見て、日本人が働きすぎと思えるのは自然でしょうが、WHO発表の年齢調整自殺率を見ると、2015年の統計ではウクライナとロシア(10万人あたり20.1人)が並んで日本(10万人あたり19.7人)をしのいでおり、3国とも上位20ヶ国に入っています(ちなみにベラルーシの数字は22.8人)。

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(東京・渋谷のスクランブル横断歩道に立つコマロウ氏)
 そのほか、集団での花見、カプセルホテル、ラブホテル、新幹線、ロボットが調理するお好み焼き屋、フグの漁・せり売り・処理など、我々にとって目新しい話題でないと言えばそれまでですが、コマロウ氏のさわやかな人柄もあって、嫌味がなく楽しく観ることができます。といっても、ちらりと見た第3回では、アニメ産業、ホスト・クラブ、「ラブドール」の展覧会などが詳しく紹介されているようで、こういうものばかり見せないでほしいと思われる向きもおありでしょうが、日本のヴァラエティ・ショウなどにおける外国の風俗習慣の軽薄極まりない紹介に比べれば、ユーモアを交えつつそれなりに真面目で、客観性を持っているといえるでしょう。台風や地震など、日本人にとっては日常に経験する自然現象であるものが、他国の人にとっては非常に過酷な体験と映ることがあるように、伝統的なものも移り変わりの激しい流行も含め、日本人が慣れてしまっている社会・経済の現象も、実は考え直すことができるばかりでなく、作り変えることもできるものなのだという可能性を、こういう番組が感じさせてくれるといったら、過大評価になるでしょうか。それではまた。